- 2018.12.26
- Journal
萩原朔太郎の「猫町」と青梅の猫町幻想
映画看板を下ろし、青梅宿アートフェスティバルが終わると師走である。
青梅商店街の次なる一手は、著名なイラストレーター山口マオさんの「青梅は猫の精霊が棲む朔太郎の『猫町』とは言わないが不思議な街である」をヒントに萩原朔太郎の「猫町」を目指し「青梅・猫町倶楽部」を立ち上げた。
小説「猫町」の主人公は、錯覚や瞑想に耽る癖をもち、しばしば見慣れた街でも方向を間違える詩人でもある。
ある秋の日、軽便鉄道に乗り途中の駅から山道を散策に出かけたが道を失い、やっと麓の町にたどり着いた詩人は狭い横丁から繁華な大通りへ出た、そこで目にした町の印象はどの商店も古雅で奥床しい歴史を秘めていた。しかし賑やかな町には物音はなく、家並みはガラスのような危なげな均衡の中、誰かに見られているような恐怖と凶兆を感じた時、黒い鼠のような影が道を横切った。
すると万象が停止し見れば町の街路には猫、猫、猫、猫、猫の大集団と家々の窓には髭の生えた猫の顔が額縁の中の絵のように浮きでていた。
その瞬間、猫ばかり棲む町の戦慄から詩人は意識を失い再び目覚めた時、猫は霧消し町は見馴れたいつもの風景と商家が立ち並び、理髪店や暇な時計屋が欠伸をし、町は単調で穏かないつもの商店街が立ち並んでいた。
そんな概略だが、読み終えた私は知らず知らず軽便鉄道を青梅線、停車場は青梅駅、山道は永山林道、そしてたどり着いた町こそ青梅宿商店街そのものと錯覚している自分を発見、ふっと次の街づくりは朔太郎の「猫町」をテーマにしようと決めた。
それにしても朔太郎が「猫町」を発表した昭和10年、青梅は活況を呈し、当時としてはモダンな看板建築の店舗が建ち並び、今でもその頃の理髪店、写真館、時計店などが営業している青梅としては朔太郎の「猫町」は青梅商店街そのものではないかと妄想し猫の街づくりを皆で愉しんでいる。(横川秀利)
西多摩新聞 2018年11月23日付 5面より 記事・写真提供:株式会社 西多摩新聞社
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